もうかなり昔のことになってしまうが、自分がロンドンに留学するまでのいきさつについて書いてみようと思う。
バレエの教え方をロイヤルアカデミーオブダンシングの教授法に学ぶ
私が、海外のダンス留学を考えるきっかけになったのは、英国のバレエ教師のためのワークショップ 、ロイヤルアカデミーオブダンシングの夏期講習会を日本で受け始めてからだった。
当時、私は、ロイヤルメソッドのバレエスクリーンで先生の助手をする傍ら、自分でスタジオを借りて練馬と船堀で教えていた。ロンドンのロイヤルアカデミーオブダンシングが認可しているバレエ教師の資格を取得するつもりで、そのやり方を取り入れ指導していた。
小林紀子バレエシアターがロイヤルアカデミーオブダンシングメソッドを取り入れ、イギリスから先生を呼んで講習会を開くなど、日本での取りまとめをしていた。
その子供ためのバレエ教授法はバレエの解剖学など、バレエのメソッドとしては、確立された方法で、学ぶことは多かった。
そんな講習会に何度となく出ているうちに、ロンドンのロイヤルアカデミーオブダンシングに行ってみたくなり、海外のダンス留学に関心を持ち始めたのだと思う。
兄が単身赴任しているロンドンヘ
その頃、ロイヤルアカデミーオブダンシングのシラバス(テキスト)を片手に、子供にバレエを教えるには、どこをどのように注意すればいいのかなど、 手探り状態で教えていた。
子供に教えるのはとても楽しいかったが、まだ自分の中では、ダンサーとして踊りたいという気持ちが強かったので、思い切って、単身赴任している兄を頼って、仕事を休み、ロンドンのダンス事情を見に行く目的でロンドンへ短期ダンス視察旅行に出かけた。
ハマースミスの兄の単身赴任先であるアパートは大きな門で仕切られた敷地内に立つセキュリティのしっかりしたアパートだった。ロンドンになれない私にはラッキ〜な宿泊場所。
そこに数日間居候をして、ロンドンのロイヤルアカデミーオブダンシングやラバンセンターなどのダンス学校やダンスワークス、パイナップルスタジオなどダンススタジオでレッスンを受けた。
ダンス学校でもダンススタジオでも、何人か頑張っている日本人がいて、ダンスワークスでは、あゆみ先生という日本人のバレエの先生が、アドバンスクラスを教えていたが、いつも2,30人くらいの人気のあるクラスだった。
もちろん、ロンドンミュージカルやダンス公演を主にやっているサドラーウエルズシアターにも足を運び、ダンス公演を見にも行った。
やはり驚いたのは、ロンドンで、ダンスが舞台芸術として浸透していることだった。斬新的で奇抜な作品も多く、ダンサー、振付師、ダンス教師、舞台に関わる照明家などの層が厚い。
それらの職業が成り立っていて、ダンスを見に来るお客さんも、マニアックな人だけでなく、観光客から舞台好きな人まで幅広い。
サドラーウエルズシアターは、コンテンポラリーダンスを含め多くのダンス公演をしているが、人気のダンスカンパニーの公演は満席で席が取れないこともあるほどだった。
日本のように、見に来る人は知り合いが多いということはなく、劇場の近くの人やたまたまダンスをやっているっていうので見にきたという人も多かった。こんなにダンスが浸透しているなんて「羨ましい!」と思うと同時に、やっぱりロンドンでダンスを勉強したいという思いが強くなっていった。
ラバンセンターの夏期講習会を受けて、オーディションへ
その数日間のロンドン視察旅行中に見た熱心な日本人ダンサーや多くのダンス公演のことが、とても衝撃的だった。(当時はそんなにインターネットも普及していなかったので、海外情報も入手しにくかったのだ。)
ダンススタジオに通う始めると、現地にいる日本人とも会話するようになり、事情もわかって来る。どんな人が先生で、どんな人がスタジオに通って来るのかなど。
そんなことを耳にしているうちに、年齢的にも30代になっていたし、「留学するなら今しかない。!」と考え、ダンス学校入学を真剣に考えるようになった。
そこで、ラバンセンターやローハンプトン大学のダンス科などいくつかダンス科のある学校のパンフレットを入手し、ラバンセンターはロンドン市内にあるので実際に行って見たりもした。
帰国後、ラバンセンターのプロフェッショナルディプロマコースという一年間でダンスのディプロマが取れるコースがあるのを知り、このコースへの入学を申請してオーディションを受けることにした。英語を一つ一つ理解しながらラバンセンターに願書を提出し、いよいよそのオーディションの日。
オーディション合格!
夏期講習会を受けて、夏の間に、パイナップルダンススタジオなどでクラスも受けていたので、ウォームアップも十分、オーディションにどんな人が来るのか、先生、クラスレッスンなどとても関心があった。とはいえ、実際は、先生の言うことや、動きの順番と振付を覚えるのに夢中で、あまり周りを見れない状態だった。それほど、まだ英語が十分でなかったのは言うまでもない。
当日は、ゼッケンをつけ、グループに分かれ、バレエ、コンテンポラリーダンス、即興、個人面接の順でオーディションが行われた。
オーディションが終わりホット一息。結果が送られてきた。結果は”合格”!! 「やったー」と思わず叫んでしまった。日本にいる両親に電話すると「よかったじゃないの!」と一緒に喜んでくれた。
「これでダンスを本格的にできるんだ!!」とラバンセンターでのダンスコースを心待ちに、留学の準備を進めることにした。
まとめ
ダンス留学に至るまでも、留学してやっていけるのかなど色々な不安もあり、苦労も多かったが、決めてしまったらもうやるしかないと腹をくくっていた。ラバンセンターでの留学生活のついては次回のブログで。
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