これまでのブログで、ダンスを理解して、上達するには、ダンスの発表すること、ダンスを創作すること、ダンスを鑑賞することの3つのことがダンスを上達するのに大切ということを書きました。
この3つを同時進行していくと、ダンスに対して、興味を持って取り組めるということも納得いくと思います。
ダンスを踊り、創作し、鑑賞する時に、ダンスを構成するものについて知っていると理解に役立ちますすよね。
ダンスを構成するものは、ダンサー、音楽、舞台装置、照明などいろいろと思い浮かぶと思いますが、ここでは、体の動きを研究し、舞踊譜を発明したルドルフ ラバンの動作分析に基づいた4つの要素を簡単にご説明します。
私自身、ルドルフ・ラバンのムーブメントアナリシス(動作分析)を大学やダンス学校で学び、それまでのダンスに対する考え方が変わり、創作ダンスが好きになったほどです。
そんなダンス界でもとても影響力のある、ルドルフ・ラバンについて簡単に説明します。
ダンス研究者 ルドルフ・ラバンという人
ルドルフ・ラバンは(1879–1958) は、ヨーロッパのダンス教育の第一人者で、特にモダンダンスの発展に大きな貢献をしました。彼は、英国でダンス理論を確立しましたが、欧米や日本の小、中学校のダンス教育にも影響を与えました。
彼の動作分析は「動きとは何かを追求したもので、人間だけでなく動物や乗り物など動くものは全てを観察し動きの分析をしたのです。
特に身体動作に関しては動きが、空間、時間、エネルギー、身体の各部の要素から成り立っていると言う理論ですが、この理論をダンスの動きについても発展させました。その理論は、ラバノーテーション(舞踊譜面)に反映されています。ここでは、ラバンのいうダンスを構成する4つの要素と4つの要素を踏まえた創作ダンスのやり方についてお話しします。
ダンスを構成する4つの要素
この考え方は、ハンガリー出身のダンス研究者、ルドルフ・ラバン(1879-1958) のムーブメント理論をベースにしています。
ダンス研究者である傍、ラバン自身は、振付家であり、ダンサーだったので、ムーブメント研究のほかに、舞踊譜(ラバノーテンション)を考案して、複雑なモダンダンスの動きをシンボルを使って譜面に書いたりしています。
彼の理論は、彼の死後、リハビリテーションやダンス振付家など身体の動きに関する専門家によって、少しづつ形を変えて、発展しました。
下の動画は、実際に動いて説明しながら、ダンスを構成する4つの要素について説明しています。
ダンスの動きを4つの要素からみることで、ダンスの見方が整理される
全てのダンスの動きには、
1、アクション(身体がする動作)
2、ダイナミック(身体の動きの質)
3、空間(身体を取り巻く空間)
4、他者との関係(自分と踊る対象や人)
4つの要素があり、これらが組み合わされて、ダンスの動きは構成されています。
こう言ってしまうと何か制限がついてしまったような気がしますが、ダンスの振付を創作したり、自分で覚えたりするときに、このような見方を持っておくと、振付や動きの見方が整理されてきます。
ダンスの動きを4つの要素で分析すると
例えば、次のようなひと流れの踊りをラバン流に分析すると
「二人の子どもが、手を繋いで、リズミカルに、スキップを踏んで、ジグザグにスタジオを横切った」
手を繋いで(4,他者との関係):「手を繋いで」という行為から二人の関係性(友達か兄弟なのか)を読み取れる
リズミカルに(2,ダイナミック):動きの質がリズムに乗った動きである
スキップを踏んで(1,アクション):「スキップ」というのがメインのアクションとわかる
ジグザクにスタジオを横切った。(3,空間):二人が移動している空間がジグザグの軌跡を描いている
このひと流れ踊りは、上記のようにダンスの4つの要素を含むことで成立します。
もしこの中で「スキップを踏んで」というのが欠けていたら、どんな風にという1,アクションが欠けていて、ひと流れの動きとしてダンスが完結しないというわけです。
細かいところまでダンスの動きを説明して記述するときは、もっと動きを細かく分けて、ラバノーテンション(舞踊譜)のように、手の動き、足の動き、体の動き、体の向きなどに分けて、それぞれについてのアクション、ダイナミック、空間、他者との関係を記述します。
ラバノーテーションの例
実際、ビデオのない時代は、そのように細かいところまで記述するラバノーテーション(舞踊譜)がビデオがわりで、モダンダンスの振付を記述していたのです。そして現在、いくつかのダンスカンパニーでは、そのラバノーテーション(舞踊譜)から、過去のモダンダンス作品をリバイバルして上演したりしているのです。
まとめ
ダンスを構成する4つの要素について、ざっと説明してみましたが、どうでしょうか。ラバンのムーブメント理論については、ダンス関係者の中で好き嫌いが分かれることが多いです。
ただ、ラバン自身も言っているように、この理論を一つのアイデアとして、ダンスの振付やパフォーマンスに利用したほうが、発展性があり、多くのプロの振付家はこのアイデアを採用しています。
次回は最初のカテゴリー「アクション」について書来ます。
下の動画では、この4つの要素を使って簡単な「サイドステップ」を発展させて、実際にダンスの振り付けにしています。参考までに!
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