いくつかの動きが決まったら、その動きを色々にアレンジし、発展させていきます。
ここでは、以前お話しした、ラバンのムーブメント理論から身体の動きやダンスの構成要素から発展させる方法について書こうと思います。
選んだモチーフ(動きの素材)を発展させるーダンスを構成する4つの要素
前回ご説明したダンス創作手順2でできたモチーフに緩急やメリハリをつけるなど色付けをし、フレーズ(一連の動き)にしていきます。
ここでは、ラバン ムーブメント理論にある動きやダンスを構成するもの(4つの要素:アクション、ダイナミック、空間、他者との関係)を使います。
この方法は、少し理屈っぽいかもしれませんが、動き全体を客観的に見ることができるので、この4つの要素を見直すことで、自分の動ける範囲、動き方、動きの種類(ムーブメント ボキャブラリー)を広げることができるという利点があります。
次に、その4つの要素について簡単に説明します。
ダンスを構成する4つの要素
例えば、前回からの続きでできたモチーフが「床で体をひっくり返す動き」だとして、4つの要素を使うと、下のように動きを考察していくことになります。
ダンスを構成する4つの要素
モチーフ:床でひっくり返る動き
1、アクション(身体のどの部分か?):頭、足、手などの身体の各部と、回る、跳ねるなどの一動作
「ひっくり返る」という一動作に身体の一部分の動作や他の動を加える。
例:「ひっくり返る」+「立ち上がる」(他の動作)
=「ひっくり返って立ち上がる」
2、ダイナミック(どのように身体を動かすのか?):動きの速度、強弱、高低をつける、動きの質、方向性を変える
「ひっくり返る」動作に動きの速さ、その強弱や、大小、フォーカス、動き方の特別な質があれば加える
例:「ひっくり返る」動きを、ゆっくり、全身を使って大きく動くなど
*これは、ラバンの動きの分析理論にあるeffortの要素になり、それには4つの要素(速度、重さ、方向性、動きの質、があるとされています。詳しくはこちらのブログで
3、空間(身体が空間をどのように動くか?):モチーフとなる動きがスタジオの横、前などどの方向にどんな動きをしていくのか。
「ひっくり返る」動きが空間どのように移動すのか方向性を動きに加える
例:斜めの方向にひっくり返るなど
4、他者との関係(自分が踊る人や対象:例えば、椅子、映像、曲とどんな関係を持って動くのか?)椅子を使ってダンスを作るときにその椅子が自分にとって何なのか(友達のような存在?)を意識することで、どう関わるのか。
「ひっくり返る」動きの時にアンビエントな音をかけるとして
例:「ひっくり返る」動きを音と合わせることで変化をつける
このように、「ひっくり返る」動きに別の動きを加えたり、速度を変えたり、もっと空間を移動するように移動の仕方ををアレンジしたりして、モチーフを発展させフレーズ(一連の動き)にしていきます。
ダンスを創作する上で、これらの4つの要素を使って、いろいろなことを試してみることで、一つの動きを多様に発展させることができます。
テーマがある場合は常に、テーマと照らし合わせながら作業をしていくことになります。
このようにして、いくつかフレーズを作り、次にダンス全体の構成を作っていくわけです。
まとめ
ダンスを創作するというと、何か知っている振付から考えがちですが、身体の簡単な動き(走るや手を上げるなどのモチーフとなる動き)から初めて、少しづつ動きを発展させることができます。
テーマを考えながら、いろいろな動きを即興で試していくといいと思う動きのフレーズが出来上がっていきます。次回は、ダンス全体の構成に関してです。
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