ダンスを見て、自分なりに考え、感想を持つことは、ダンスクラスでやっている振付や構成を理解するのに大変役に立ちます。ダンス公演やダンスビデオを鑑賞して、テクニックやダンスの表現が素晴らしい人を見れば、クラスの生徒たちも、刺激を受けて、モチベーションをあげることができます。今回はダンスを鑑賞するときの見方について書こうと思います。
鑑賞のポイント
ダンスを見て、解釈しようとするときには、いくつかの鑑賞ポイントがあります。大きく分けると、次の5つになります。1、振付、2、芸術面、3 、構成面、4、制作面 5、出演ダンサーの身体と感情表現
1、振付
振付の動きを鑑賞するときは、以前のブログでお話しした、ダンスの4つの構成要素で見ることができます。ここでその4つの要素をもう一度復習してみます。
1)アクション(ダンサーの身体の動作 は?): ダンサーの移動する動き、ジャンプする動きなど、どんな動きが多かったか?
2)ダイナミック(ダンサーの身体の動きはどんなか?):柔らかい動き、直線的な動きなど。ダイナミックを決める4つのカテゴリー(速さ、重さ、方向性、動きの質)を観察。
3)空間(ダンサーの身体が空間をどのように動くか?):ダンサーが空間をどのように動くか?(直線的か曲線的かなど)
4)他者との関係(ダンサーが舞台上で関わる対象があるか?):舞台装置はどんなことを表しているか。ダンサーが道具を使っているとすればどんなものがあるか。
2、芸術面
ダンサーたちの表現や舞台美術で表現されていることで、感銘を与えるシーンはどこか。
3、構成面
振付の構成や全体の構成について、クライマックスや繰り返しなどの構成はどのように表されているか。
4、制作面
舞台セット、照明、衣装、音響などのそれぞれの制作部門はどのような効果があったか。公演プログラムの最後に制作部門が書かれているが、それらの舞台での効果はどうか。
5、出演ダンサーの身体と感情表現 :出演するダンサーたちのダンスのスキルや感情表現はどうだったか。
これらのことを、一つ一つ見て、公演プログラムと照らし合わせたり、ダンサーや制作スタッフのインタビューを聞いたりすると、制作の工夫などいろいろな事がわかり、ダンス作品をさらに楽しめます。
ダンスクラスでダンス鑑賞するとき
ダンスクラスでダンス鑑賞するときは、小学校低学年くらいの生徒たちは、難しい用語がわからないので、シンプルな言葉を使うようにします。子供達は、舞台で何を見てどう思ったかを率直に話します。それらの言葉を聞いて、適切な表現を教えてあげたり、別の言葉に言い換えたりしてあげると、生徒たちは語彙を増やすことができます。
クラスでダンス鑑賞を深めるためには
・プロのダンスカンパニーのダンス公演やダンス映画などでダンスを見て、上記の5つのことを鑑賞してみる
・その日のダンスクラスで学ぶテーマ(振付や構成)がビデオのダンス作品でどのように使われているか鑑賞して、キーワードを生徒とシェアする。
・ダンス鑑賞して、キーワードが出てきたら、生徒たちが理解できるように紙に書く
・ダンス鑑賞したときに、鑑賞した事について言葉で書いたり、描いたりしてみる
・生徒が見たダンスについて、言葉にできないときに、適切な質問をして引き出す。
ダンスクラスの中でも、ビデオ化されたダンス公演やダンス映画を豊富にみることができるので、クラスの皆で鑑賞して話し合う事ができます。実際に、クラスで創作したダンスを鑑賞しあうことも、面白いです。
まとめ
今回は、ダンス作品をどのようにみるかのポイントについて書いてみました。このような見方をすると、ダンスの深いところまで鑑賞できて、面白くなってきます。
ダンス作品を鑑賞したときに、好きか嫌いかを先に言ってしまうことが多いですが、上記のような見方をしていくと、なぜ自分がその作品を好き(嫌い)なのか、わかります。次回は、そのダンス批評の仕方について書いてみようと思います。
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