前回は一般的にバレエーダンサーが使うラテラルブリージングについて説明しました。
今回は、いろいろな動きを伴うダンスの振付を踊るために、ラテラルブリージングの他に、身につけておきたいダンスの呼吸法を3つ(腹式呼吸、胸式呼吸、動く体のための呼吸)お話しします。
腹式呼吸
腹式呼吸は、寝ている時などのリラックス時に自然とおこなっている呼吸で、お腹を動かす呼吸です。
やり方
まず、両手を重ねてお腹の上に置く。一息吐いてから、
1、お腹の膨らますように息を吸う
2、ゆっくりとお腹をへこますように息を吐く
*腹式呼吸をさらに深めたい時は5拍ですって、10拍で吐くというように吐く息を吸う息の2倍かけて行う。
*最初は3分くらい(12回くらい)を目安に徐々に長くできるようにする。
座った姿勢で、お腹を膨らませたり凹ませたりするのがわかりにくい場合は、仰向けに寝た姿勢で行ってみると分かりやすくなります。
(下記参照)
胸式呼吸
胸式呼吸は、昼間に活動時に自然としている呼吸法で、胸部を動かします。
やり方
1、息を肺のほうに入れる感じで、息を吸って胸部を膨らませます。(右下図参照)
2、息を吐いて、胸部の縮めます。(左下記図参照)
動く体のための呼吸法
腹式呼吸がリラックス時に、胸式呼吸が活動時に主に行われる呼吸に対して、いろいろな動きのあるダンスの振付を踊る時に、呼吸法を使い分けることはできません。踊っている時に呼吸法を考えすぎることも良くないですね。
そこでここでは、「これから動く」準備のための呼吸法についてお話しします。
これは、太極拳にある自然界の”気”を応用した呼吸法です。
やり方
1、息を吸う時はおへそが背中に近づくようにして、胸をはらないように細く長く吸い込みます。
*息を吸う時につむじが天に向かうイメージで行うと、呼吸も姿勢も整ってきます。
2、息を吐く時にその吐く息がおへそから両脚の中を通って土踏まずから地下に入ります。
この呼吸を2、3回繰り返すことで、「動き始め」の準備が整います。
曲をかけながらウォームアップをするときでも、この呼吸法をやると、足が地について安定し、背筋も伸び、体にエネルギーが満ちてきます。
このように全身で呼吸を感じ取ることができれば、踊っている時も呼吸と動きはコントロールすることができるようになります。
ダンスで呼吸をうまく使うためには、腹式呼吸、胸式呼吸、ラテラル呼吸などの呼吸法を習得した上に、身体やその動きとつなげていくことがポイントになってくるのです。
参考文献:「太極拳理論の要諦」銭育才 著
「初めての呼吸法」雨宮隆太、楊進 著
The Place Of Dance by Andrea Olsen
コメント