ダンスの表現力をつけるための7つのポイント

キッズダンス

ダンスを通して観客にイメージを伝えるため、また、表現豊かにダンスを踊るためには、技術的なスキルと同じくらい表現スキルも重要になってきます。

具体的な例で言えば、新体操の採点でも芸術面と技術面がありますが、その芸術面です。

全ての人は、身体的な条件にかかわらず、この芸術的な表現力を発展させることができます。

それでは、ダンスの表現力に磨きをかけるための7つのポイントについて、書いてみます。

フォーカス(視線の使い方)

フォーカスとは、ダンサーがどこを見るかその視線のことです。ダンサーの視線によって観客を引きつけることができるのです。NYのモダンダンスの巨匠で、リモンテクニックを生み出した振付師ホセ リモンは、ダンサーの視線の用い方には3通りあると説明しました。

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ダンサーの視線の使い方1:一緒に踊っているダンサーを見る目

ペアを踊るときは、その相手に視線を向け、グループで踊るときはグループのメンバーに視線を向けることで、一体感やその関係性を表現できます。

例えば、簡単な例でいうと、男女で踊っているとき、目を合わせて踊っていれば、仲の良いペアのような関係性が観客には見えるし、目も合わせずに踊っていれば、二人の仲が悪いか、疎遠な関係性がわかります。

ダンサーの視線の使い方2:観客を見る目

ダンサーが観客を見るときは、特に観客にアピールしたいときや、役柄によっては自分が広い範囲にわたってアピールしたいときに、このフォーカスを使うことが多いです。

ダンサーの視線の使い方3 :自分を見る目

ダンサーが、自分の中を見ているとき、内省、内観して踊っているときの視線です。フォーカスが外に向いているわけでも誰かに向いているわけでもありません。このフォーカスが一番難しいかもしれませんね。

ダンサーは体の動きがメインといっても、ダンサーの視線も重要な表現になります。

この3つのフォーカスを使って、ダンスを踊るとき、自分の視線はどこなのか、一つ一つ確認しておくことも踊りを引き立てることになるのです。

身体エネルギー

これは、ダンサーが踊るときに、観客に発するエネルギーのことです。よく、「華がある」という言い方もしますが、それと似ています。踊っているときに普通にしている時とは違うエネルギーを発することで、観客がダンスに引き込まれていくのだと言えます。

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顔の表現

踊っている役柄によるかもしれませんが、意味もなくニコニコしていても、踊っている場面にそぐわない時もあります。そのダンスのコンセプトや役柄をしっかりと把握してイメージすれば自然と表情が変わってくるはずです。

空間(場を感じること)他の人の存在も感じ取れる

踊っている時の空間を感じ取ることです。舞台が花畑になっていたら、自分が花畑にいることを感じて、踊ることで、ダンスの表現が全く変わってきます。このことは、一緒に踊っているダンサーたちの存在も感じ取ることでもあります。
群舞で踊っているにも関わらず、自分一人で踊ることに夢中になって、周りのダンサーの動きを感じることができなければ、群舞としての一体感のある踊りはできません。

リズム感、音感

ダンスを踊るときには、エレクトロミュージックやオーケストラなどいろいろな曲を使います。ドラムやピアノなどの楽器と共演することもありますが、その音の音色、テンポ、音質に合わせて踊ることで、ダンスを曲と一体にさせます。
リズムを取るだけでなく、例えば、(リトミックにあるような)低い音には、重々しい動きになったり、軽やかなピアノの音色には、軽やかなステップになったりするなど、音の音色や響きなど音から感じられることを体で表現するということです。

ダンスにメリハリをつけること

簡単にいうと一つの動きの流れに緩急、強弱のメリハリをつけ色づけをすることです。
動きのどこにアクセントをつけるか、スピードをつけるところと、ゆっくりと動くところなど、はっきりとさせることで、表現が洗練され、動きもダイナミックになります。
*ダンスダイナミックスに関しての詳しい説明はこちらの記事にあります。

振付の解釈

最後にどんな踊りなのか、振付の意図を自分なりに解釈して自分のものになっているかで、踊りの質が変わってきます。
俳優の演技と同じですが、笑っているふり、泣いているふりというのは、表現が安っぽくなってしまいます。怒っている人を表現する踊りならば、そのキャラクターを自分なりに、把握してなぜ怒っているのかなど明らかにして、ダンスとして表現しなければ、いい表現とは言えません。

まとめ

今回はダンスの表現力に磨きをかける7つのポイントについて書いてみました。自分のダンスを見直すとき、これら一つ一つをチェックできれば、表現としてどんなことが足りないのか、どこが強みなのか知ることができます。
舞台で踊るときには、これらのことを考えてなくてもいいように、練習して、十分に体に覚え込ませるようにします。

もっと簡潔に言えば、これら7つのことを全て持ち合わせているのは、自分の中にあるとてもクリアなイメージです。

広大な花畑の中で、太陽の日差しを浴びた時の気持ちや喧嘩をして怒った時の部屋のイメージ、海の波のうねり方をイメージした動きなど、詩的 絵画的な細かいはっきりとしたイメージが上の7つのことを凝縮しているとも言えるでしょう。

参考文献

Choreography And The Specific Image Daniel Nagrin著

魂の演技レッスン22 ステラ アドラー著

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