ピラティスでバレエ:グランプリエの体軸が真っ直ぐに!ーカナダにあるバレエ学校の事例ー
バレエを続ける中で、「姿勢が崩れる」「グラン・プリエで体が前に倒れてしまう」といった悩みを持つ方は少なくありません。
実は、こうした問題に対してピラティスが効果的であることが、科学的にも示されています。
今回は、実際にカナダのバレエ学校で行われた実験をもとに、ピラティスがバレエダンサーの姿勢改善にどれだけ役立つかを具体的にご紹介します。
目次
実験:バレエ学校の生徒を対象にピラティストレーニングの効果をみる!
カナダ・モントリオールのバレエ専門学校(École Supérieure de Danse du Québec)では、15〜19歳のバレエ学生10名を対象に、ピラティストレーニングがバレエにを踊るためにどのような効果があるのかを検証する実験が行われました。
この実験では、バレエ学校の生徒10名中の5名に、14週間にわたり週2回のプライベート・ピラティスセッション(マットとリフォーマー使用)を受けてもらい、さらに自宅でのマットエクササイズも実施。
残りの5名は通常のバレエトレーニングのみで過ごしました。
ピラティスのトレーニングを受けるグループのトレーニング内容では、以下の3項目を行いました。
1、ピラティスのマットエクササイズで、腹筋や背筋などの体幹を鍛え、骨盤の正しい位置を学ぶ。
2、リフォーマーでのエクササイズは脚の筋力を整えて強化する
3、回転ディスク上でのグランプリエ
結果:グラン・プリエでの姿勢が明らかに改善!
研究では、全員に「グラン・プリエ」を実施してもらい、その動きをしている時の詳細を、光電子工学による動きの分析を行う機材を用いて、動き方を分析しました。
その結果、ピラティスを受けたグループでは、
動きの中で背骨と骨盤が、前後、左右に動いてしまっていたのが、ピラティストレーニングを受けていくうちにそのブレが改善され、
グラン・プリエの最下点でも、肩・骨盤のアライメントがまっすぐに保てるようになったという2つの変化が見て取れました。
このことから、 ピラティスのトレーニングを受けたグループは体幹の安定性が向上し、上半身が前に倒れないような体軸も強化されたということがわかりました。
特に、グランプリエをしている時の肩と骨盤のアラインメントが71%も改善されたという結果です。
これは、ピラティスが単なる筋力強化ではなく、「動作中の姿勢のコントロール能力」を高めることを意味しています。
なぜピラティスで姿勢が良くなるのか?
この実験の研究者たちは、ピラティスの効果は「筋力」だけではなく、体と体幹の使い方を学び、自分の体をコントロールできるようになることと結論づけています。
ピラティスのトレーニングを行ったグループは、ピラティスのエクササイズの動きの中で、自分の体の間違った使い方に気づき、正しい姿勢やアラインメントの感覚を養うことができました。そのため、回転ディスクを使う難しいバランス力も高めることができたのです。
まとめ:ピラティスはバレエの姿勢とパフォーマンス向上に直結
この研究結果から、ピラティスがただのストレッチや筋トレではなく、自分の体に気づき、コントロールしながら自分の体を動かすことを学べるエクササイズであることが言えます。
ピラティスのトレーニングをすることでバレエのグラン・プリエを真っ直ぐに行うための体軸や体幹の安定性を養うことができます。
さらに、正しい姿勢とアラインメントを身につけることで、踊っている時の怪我の予防にもなります。
バレエやダンスに取り組む方にとって、ピラティスは体軸や体幹を強化するためのや、自分の体のコントロールやバランスを知るための質の高いトレーニングです。
あなたの踊りの質を、ピラティスで一歩引き上げてみませんか?
出典:The Effect of Pilates-based Training on Dancers’ Dynamic Posture by Ann mcmillan, m.Sc., Luc Proteau, Ph.D.他