ピラティスの体幹トレーニングで、バットマンの脚が高く!ー英国ウルヴァーハンプトン大学の論文よりー

他の記事でも、ピラティスがダンスのテクニックの向上のために効果のあるトレーニングであることを書いていますが、この記事では、ピラティスエクササイズによって、体幹が強化、股関節の柔軟性も高まったため、ダンスやバレエのバットマンで、脚を高く上げることができるようになり、脚をキープできる時間も長くなったという研究をご紹介します。

バットマンの脚の高さとキープ力を測定

この研究は、英国のウルヴァーハンプトン大学とダンス医科学研究所が共同で行なった研究で、
15人のダンス学生を対象に、ピラティスが筋力と柔軟性(とくに脚を高く上げるバットマンの動き)に与える影響を検証しました。
被験者は、実験グループ(ピラティス実施)とコントロールグループ(通常のダンスレッスンのみ)に分けられ
ピラティス実験グループには、11週間、週2回のピラティスセッションを行ってもらいました。
測定は、両グループともに、片足立ちで脚を上げる(デヴロッペ)の保持時間と高さをカメラで計測するというものでした。

さらに、一回のピラティスレッスンでは、腹筋、股関節屈筋、大臀筋を中心にピラティスエクササイズを行い、一つのエクササイズにつき12回、繰り返してできたら、回数や難易度を徐々に上げるというものでした。

その結果、ピラティスグループは筋力と柔軟性がともに向上した上、平均で9秒長く脚を高い位置でキープできるようになり、脚の高さも4〜10度アップしたという結果が出ました。
それに対して、コントロールグループは何の変化もありませんでした。

この実験の研究者によると、柔軟性の向上は、ストレッチというよりも体幹の筋力が強化されたために関節の柔軟性が増したものだと考察されました。

ピラティスはダンサーの体の使い方と共通点が多いトレーニング

今回紹介した研究はピラティスで体幹を鍛えることで、脚の高さやキープする時間が向上したことを示しています。腹筋や背筋、大臀筋などの体幹の筋力アップが、足を高く上げる動き(デヴロッペ)に効果をもたらしたのです。

柔軟性はもちろん重要ですが、実際の踊りでは、自分で脚を上げるコントロール力が求められます。ピラティスは、そのコントロール力を養うために最適なトレーニングといえるでしょう。

さらに注目すべきなのは、ピラティスのエクササイズがダンスの体の使い方と非常に似ている点です。コアを意識を使って動くというピラティスの基本原則は、バレエやコンテンポラリーダンス、ジャズダンスなどダンステクニックと多くの共通点があります。
このことからも、ピラティスはダンスを踊るための体づくりに適したトレーニングといえます。

まとめ

バレエダンサーが足をより高く、安定して上げるためには、単なる柔軟性だけでなく、体幹の筋力(腹筋、背筋、臀筋など)が欠かせないことがこの論文からわかりました。
ピラティスによる体幹トレーニングを行うことで、脚を高く上げて保つというダンテクニックの向上につながったのです。このことから、バレエ、コンテンポラリーダンスやジャズダンスなどのダンサーにとって、ピラティスは踊るための体作りや、テクニックの向上に役立つエクササイズといえます。さらに、ピラティスは、ダンサーにとって、怪我を防ぐためにも、有効なメソッドでもあるのです。

論文タイトル: Pilatesトレーニングがダンサーの筋力と柔軟性に与える影響
出典: Motriz: Revista de Educação Física, 2011年