楽にうまく踊るためのインナーマッスルの使い方【ダンサーの姿勢改善】
「姿勢を良くして」「もっと引き上げて」と言われると
胸を張る・背中を固める・腰を反る
このような“外側だけ”の調整をしてしまうダンサーは少なくありません。
しかし、これは本来の正しい姿勢とは真逆です。
外側から姿勢を作ると、呼吸も浅くなり、動きも硬く、踊りにくくなります。
では、ダンサーに必要な“本当に良い姿勢”とは何でしょうか?
そこで、この記事では、楽に踊るための良い姿勢とインナーマッスルを使って姿勢を整える方法、そして、そのような姿勢で踊るとどのようなmリットがあるかについて書きます。
目次
ダンサーが身につけたい「正しい姿勢」とは?
“正しい姿勢”というと胸を張ったり、腰を反ったりしてしまって、どのようにすればいいのか、わかりにくいという方も多いのではないでしょうか。正しい姿勢とは、前から見ても横から見ても「体の中心線(正中線)」がまっすぐ通っている状態です。
重力に対して体が無理なく支えられ、肩・腰への負担が最も少ないのがこの姿勢です。
正面から見た姿勢では、
上から、つむじ、胸の中心、おへそ、尾骨(しっぽの部分)そして両足の中心が一直線になっている姿勢です。

横から見た姿勢では
つむじ、耳の中心、肩の中心、大腿骨(股関節を横から見て)の中心、足首の中心(外くるぶしの内側)が一直線になっている姿勢です。

この姿勢を作るために重要なのが、体の内側にあるインナーマッスル(深層筋)です。
正しい姿勢を作る3ステップ
上のような、正しい姿勢を作るためには、次の3つのことを意識することが大切です。
- 骨盤底筋(トイレを我慢する時に使う筋肉)を軽く引き締め
- おへそをへこませるように腹横筋を意識し
- その感覚をつむじの方向”へつなぐ
この3つを意識するだけで、外側の筋肉を固めなくても背骨が自然に伸び、呼吸も深くなります。
トレーナーがイメージを使ってレッスンで指導するときは、
「トイレを我慢するように骨盤底筋を使う」「ジーパンのジッパーを引き上げるように…」など色々な言い方をしますが、実際に、クライアントの姿勢を手で直したりしないと、なかなか治らない場合もあります。
姿勢を支えるインナーマッスルが働くと正しい姿勢に
自分では意識しにくいですが、どんな筋肉が背骨を支えているのかをイメージすると、正しい姿勢をキープしやすくなります。
正しい姿勢のための背骨を支える深層筋には以下のようなものがあります。
- 腹筋群:腹横筋・外腹斜筋・内腹斜筋
- 背筋群:脊柱起立筋・多裂筋
- 体幹と脚をつなぐ:腸腰筋・大腰筋

これらがバランスよく働くと、外側を力ませなくても背骨が内側から支えられた自然な姿勢が保てます。
ダンサーの姿勢はより強い“引き上げ”の意識
バレエやモダンダンスでは、重力に逆らって上へ伸びる動作(ジャンプやターンなど)が多いので、
ダンサーは一般の人よりも背筋・腹筋をより引き上げるように使う必要があります。
そのため、自然なS字カーブがやや浅くなりますが、体軸は安定するので、ピルエットやジャンプはやりやすくなります。
つまり、一般の人の姿勢が、「重力の抵抗を最小限に抑えた姿勢」で、腰や肩などの体にかかる負担を減らし、日常動作に対応できる姿勢であるのに対して、
ダンサーの姿勢は「上に向かう動きに対応した踊るための姿勢」であり、重力に対して体軸を垂直に保てるよう、より強い引き上げの意識と深層筋の働きが求められます。
ダンスを踊る時には、普段より背筋を伸ばす感覚が必要とされるということですね。
ダンサーが陥りやすい「外から固めるアンディオール」
姿勢だけではなく、バレエで必要なアンディオールもと外側からお尻の筋肉をギュッと固めてしまいがちです。
ですが、こうすると逆に、体を鎧のように固めてしまうので、結果的に体軸を見失い動きが硬くなる原因になります。
以前、当スタジオのダンサーの方から「お尻を締めるのは外側ですか?内側ですか?」と質問を受けましたが、
答えは、正しい姿勢づくりと同じように「内側が先」です。
体の内側にあるインナーマッスル:骨盤底筋が先に働くと、骨盤が安定し、背骨がスッと伸び、自然と正しい姿勢が取れるようになります。
インナーマッスルを使って正しい姿勢で踊るメリット
姿勢を直すときに、鏡を見て外見から姿勢を直しがちですが、体の内側の意識(インナーマッスル)を使うことがより大切です。
インナーマッスルを意識するだけで、姿勢も整えダンスの動きも楽になります。具体的に次のような点で踊りが変わってきます。
姿勢が変わると、
① 美しい姿勢=踊りのライン・ポーズが美しくなる
姿勢が美しくなるので、首・背骨・脚のラインが整うため身体も細く見えます。
ダンスのポーズや動きも美しくなるので、ダンスの見栄えそのものが変わります。
② 腰痛・ケガから解放される
姿勢を支える深層が作用して関節や筋肉が動きやすくなり、働くので、腰痛、脚の怪我などがしにくくなります。
③ステップ・ターン・脚上げなどダンステクニックが向上
姿勢が整う=体軸が整う
体軸が整う=ピルエット、シェネなどの体軸が必要な回転の動きが安定するため
回転やステップなどの高度なテクニックが上達する。
④ 呼吸が深まり、表現力が豊かになる
姿勢が整うと、余分な力が抜けて呼吸が深くなるため、自律神経も整い精神も安定。踊っている時に余裕ができる。
踊り方を見直すために、悪い姿勢や外から固める体の使い方をチェックするには、個人レッスンなどで、
専門のトレーナーに診てもらい、それなりのエクササイズを行うのが近道です。
今までと違う筋肉の使い方に気付かされるかもしれません。
まとめ:良い姿勢は「内側の意識」から生まれる
良い姿勢とは、背骨が自然なS字カーブを描き、インナーマッスルが無理なく支えている状態です。
ダンサーの場合は、もう少し背筋を上に向かって引き上げて姿勢を作りますが、いずれにせよ、正しい姿勢で踊るためには、外側の筋トレだけでなく、内側から体を整えるコンディショニングが欠かせません。
姿勢を整えることは、単に“見た目”の問題ではなく、“動きの質”にも直結します。
当スタジオでは、ピラティスベースで、指導経験豊かなトレーナーが、
内側から体を整えるコンディショニングと実際に体を動かすトレーニングを指導しています。
次回の記事では、
「姿勢が変わると動きが変わる」――インナーマッスルで姿勢を整え、トレーニングで動きを変える方法
について詳しく解説します。


