踊っている時の腕の動きは、コアから動かす― 全身がつながると、腕の位置は自然に決まる ―
目次
1、踊っている時の腕はどう動かす?と悩んだことはありませんか
ダンスのクラスでダンスステップのルーティンをやっていると、腕の動きは?と質問されることがありました。
特に初心者のクラスで、そのような質問がありますが、基本的に踏み出した脚と反対の手をつけると格好がつきます。(歩くときと同じですね。)
それでは、踊っている時に違和感なく腕を動かすのにはどうすればいいでしょうか。
このブログでは、腕の動きは、全身の体のつながりから生まれるという視点で、ダンスの振り付けについても考察し、ダンサーの腕の動きを前に見せるための体の使い方について解剖的な根拠を踏まえて説明します。
腕を動かしすぎないで!
ダンスのクラスで、ステップを踏む時に腕を動かしていたら、「腕を動かしすぎないで!」と注意されたことがある方も多いでしょう。
私もダンスを始めた頃そのように注意されたことがあります。
やはり、踊っている時に腕をぶらぶら動かしていると、見ている方からすれば、だらしなく見えるので、ダンスが下手に見えてしまいデメリットになります。
振付にもよりますが、腕の動きが特に決まっていない場合は、
右足を踏み出したら左腕が前に、
左足を踏み出したら右腕を前にというようにすると格好がつきますが、
これは自然な体の動きの法則に適っているので、違和感がないのです。
2、腕の動きが振付けられている場合も必要なコアとのつながり
以前コンテンポラリ−ダンスの有名な振付家ピナバウシュのダンスカンパニーのダンサーから彼女の振付法を扱ったワークショップを受けたことがあります。
そのワークショップで面白かったのは、上半身の動き(手の動きが中心)と下半身の動き(脚の動き)をそれぞれ別々に幾つか作って、ランダムに組み合わせるというものでした。
例えば
上半身の動きがA,B,
下半身の動きがC,D とすると
A-C, A-D B-C,B-D
を全身の動きとして、振付にしていくというやり方です。
このような方法は、新しい動きを発見するための、
コンテンポラリーダンス特有の振付のアプローチと言えるでしょう。
このように腕の動きが振付けられている場合はどうでしょうか。
もし振付が決まっていなければ、腕の位置や動きは、
体幹(コア)を中心に全身がつながることで自然に、その動きにふさわしい位置に収まります。
もしピナのように実験的に振付けられた腕の動きでも、腕が身体のコアからつながっていれば、無理なく自然な動きに見えるでしょう。
それではこの体のつながりということについて次に考察してみたいと思います。
3、解剖学が示す、コアを中心とした「対角線」のつながり
最初に、基本的に踏み出した脚と反対の手をつけると格好がつくというお話をしましたが、なぜ腕と反対側の脚が自然に連動すると、違和感のない動きになるのでしょうか。
その背景には、解剖学的な身体のつながりがあります。
人の身体は、
体幹・腕・脚がそれぞれ個別に動くというよりも、それぞれが連動して、一つの動作(歩く、走るなど)になります。
その考え方のひとつが、前方斜走性システムです。
これは、片方の腹筋群から対角線上にある反対の脚の内転筋群へと斜めにつながる筋肉の連なりを指します。
(野球やサッカーなどのアスリートには、重要な動きの連動システムになります。)
この対角線のつながりによって、右脚が前に出るときに左腕が自然に前に出るというバランスの良い歩行やダンスの動きが生まれます。
つまり、腕と脚が連動するのは、「形を真似しているから」というよりも、コアを中心とした身体の構造そのものが、効率的に力を伝えられるからなのです。

4、バレエのアラベスクに見る体のつながり
この「対角線のつながり」は、バレエのアラベスクにもはっきりと表れます。
アラベスクは、イスラム風の唐草模様が語源です。
バレエのアラベスクも、この唐草模様のように、体幹を中心に、立っている脚から胴体、背中、腕へと
唐草が伸びるような体の流れが生まれることが重要です。
そしてこの対角線に筋肉の流れがあれは、腕は無理に上げようとしなくても自然に伸び、
身体全体がひとつのまとまりとしてバランスを取ることができます。
反対に、体幹のつながりが失われると、腕だけで形を保とうとして力みが生まれ、
アラベスクは不安定で、どこか苦しそうな印象になってしまいます。
アラベスクの安定感は、このようなコアを中心とした全身のつながりによって生まれるものなのです。

5、自然で違和感のない踊りには全身のつながりがある
腕の動きをどうするか悩んだとき、腕だけを見て答えを探しても、解決しないことが多くあります。
踊りの中で自然で違和感のない動きが生まれるのは、体幹を中心に、全身につながりがある状態です。
腕は、コアからの動きの連動として、自然にその位置や動きに収まります。
ダンスの動きが不自然な時やうまく見えない時、腕の動きだけに注目するだけでなく、全身のつながりに目を向けてみてください。
ピラティスは、コアを中心に全身を統合して動く感覚を養うためエクササイズでもありますが、これは、ダンスやバレエにも共通のことと言えます。
当スタジオではダンサーのためのピラティスを応用したコンディショニングとトレーニングをしています。
興味のある方は、お問い合わせください。

