ダンサーのための食事ガイド
目次
ダンサーに多い食事への思い込み
ダンサーの世界では、「細い体のほうが美しい」「体重は軽いほうがいい」といった考え方が、今も根強く残っています。
確かに、舞台に立つ以上、見た目の印象は大切です。
しかし、細さを優先した食事は、疲れやすさや回復力の低下、集中力の低下など、踊るために必要な力を奪ってしまうことがあります。
では、美しい体型を保ちながら、長時間踊れる身体をつくるためには、どのような食事が必要なのでしょうか。
このブログでは、一般的な栄養学に基づいた食事をベースに、ダンスをする生活の中で必要となってくることを踏まえ、ダンサーの身体にとって本当に必要な食事について考察します。
美しい「細い体」が良いという誤解
「ダンサーは細いほうがいい」
という考え方がをする方も多いと思いますが、
実際には、脂肪も踊る身体にとって欠かせない役割を持っていますし、踊るための筋力は必要です。
まず、脂肪についてですが、
脂肪は、しっかりと体を動かすためのエネルギーや骨の形成にも大切な役割を果たしています。
そのため、脂肪が極端に少ない状態が続くと、骨が弱くなり、体力が落ちるなどの不調が起こってきます。
踊り続ける身体にとって、適度な脂肪は「不要なもの」ではありません。
そして、筋肉についてですが、
筋肉がついてしまうと「身体がゴツく見える」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし筋肉は、体を動かす原動力になるだけでなく、振付を覚える記憶力を高める役割もあるのです。
筋肉マッチョになる必要はありませんが、
筋肉が少なすぎると、関節を痛めるなどの怪我も多くなりますし、振付の覚えも悪くなってしまうということです。
細さ=踊れる身体ではありません。
脂肪も筋肉も、踊るための身体を内側から支える大切な要素です。
それでは、どのような食事をすれば、健康的に踊る体を保てるのでしょうか。
次に一般的にバランスの取れた食事についてみていきます。
まず知っておきたい一般的な食事の目安
バランスのとれた食事の摂りかたと必要な栄養素
厚生労働省の食事バランスガイドによると、バランスのとれた食事とは、主食、主菜、副菜、その他(乳製品、果物など)を一品づつ、取り入れてある食事であると言っています。
そして、主食、主菜、副菜、そのほかの品が、一日3回の食事に一品づつ入っていて、ご飯ばかりとか野菜ばかりというかたよりのない次のような献立が理想的な食事の献立になります。(下記参照)

必要な栄養素
そして、食事の5大栄養素、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル を毎日の食事の中で摂る必要があります。(下記の参照)

成人女性に必要な1日の食事例とカロリー数
それでは、成人女性が1日に摂取した方がいいカロリー数と食事はどうなるでしょうか。
ここで紹介するカロリーや食事例は、管理のためではなく、自分の食事量を考えるための参考として捉えてください。
厚生労働省の食事バランスガイドによると、活動量の多い成人女性の代謝量は2200−2800kcal。
運動量別に分けると
1、2200kcal は一日中ほとんど座っている人の場合。
2、2400kcalは一日5時間以上は軽い体操や歩行を行っている人の場合
3、2800kcalはそれ以上の運動をしている人の場合。 この場合は栄養士の助言が必要。
だいたい1、2が基本形ということです。
ちなみに一日2300キロカロリーの食事例は下のようになります。結構しっかりした食事です。

最近では、毎回の食事を入力して栄養素やカロリーを算出するアプリもあるので、そのようなアプリを利用して、自分の食事を改善するのもいいかもしれません。
しかし、上の方法では、1回の食事を毎回アプリに入力するなど手間がかかります。
また、あまりカロリーなどを気にし過ぎるのも良くないということを、上記資料をもとにお話しされた東京農業大学の川野 因教授は
「人間の体は、不要なものは排出し、必要なものを取り入れる仕組みを持っています。
そのため、過度に数字に縛られるよりも、自分の体の反応を信じて食事を楽しむことが大切だ」と説明されています。
特にミネラルやビタミンは過剰摂取しすぎると、体から排出されるが、脂質と糖質は溜め込むとのことなので、
特にダンサーの場合は、糖質(お菓子、ご飯、パンなど)や脂質(油を使ったスナック菓子、フライドポテトなど)を無意識に取ってしまわないように気をつけた方がいいと言えます。
ダンスの生活や自分の体に合わせた食事
ダンサーの生活は、人によって大きく異なります。
レッスンやリハーサルの時間帯、踊る時間の長さ、本番が近いかどうかによっても、身体に必要なエネルギーや食事の摂り方が変わってきます。
そのため、食事は、自分の生活リズムに合わせて調整していくものと考えることが大切です。
たとえば、午後にリハーサルがある日には、昼食をやや軽めにし、間食を摂った方がエネルギーが保たれるかもしれませんし、
朝にレッスンがある日は、朝食は軽くして、レッスン後の昼食をしっかり取るほうが、消化のためにもいいでしょう。
また、ダンサーは日常的に体を動かすため、水分をしっかり取ることも重要です。
汗として失われる水分が多いだけでなく、水分が不足すると集中力がなくなり、疲れやすくなるので、
食事と合わせて、水分補給もコンディショニングの一部として考えてみましょう。
人によっては、「最近疲れやすい」「立ちくらみが起きやすい」
といった貧血のサインに気づくこともあります。
その場合は、鉄分を含むプルーンのような食材を意識して摂るなど、自分なりの食事を設計することも大切です。
つまり、自分の身体に合った食事の取り方を見つけていくことが、ダンサーのコンディショニングにつながるのです。
まとめ|食事も踊る身体を整えるコンディショニング
ダンサーにとっての食事は、体重を減らすための制限ではなく、
踊り続ける身体を整えるためのコンディショニングの一部です。
脂肪も筋肉も敵ではありません。必要な栄養を、必要なタイミングで摂ることで、
疲れにくく、回復しやすい集中力のある身体が育っていきます。
一般的な食事の目安を参考にしながら、レッスンやリハーサルのスケジュール、そして自分自身の体調に合わせて調整していく…
そうした積み重ねが、美しさと踊りやすさの両方を支えるダンサーのための食事につながります。

