バレエの引き上げを作る体幹トレーニング― 引き上げる腹筋の使い方 ―
バレエのクラスで、よく先生が「もっと引き上げて!」という注意を聞いたことがあるダンサーの方も多いでしょう。
そう言われるとどうしていいのかわからなくて、胸をあげて背中を反り過ぎてしまったりというのは良くある間違いです。
それではその引き上げとはどのようにすればいいのでしょうか。
このブログでは、体を引き上げた状態とはどんな状態なのか、そして、その引き上げができるようになるための体幹のエクササイズをご紹介します。
目次
1、バレエの「引き上げ」とは
バレエでいう身体の引き上げとは、つむじを天井方向へ引っ張るのに対して、両足は、反対に床を押すように、
全身を上下に引き合う姿勢のことを言います。
それでは具体的にどのように、身体を引っ張り合うのかを次にそのやり方について書きます。
2、壁を用いた「引き上げ」のエクササイズ
この引き上げの状態(特に腹筋の使い方)に関しては次の壁を使った方法がわかりやすいので、そちらでご説明します。
やり方
①壁に背を向けて30センチくらい離れてたつ。まず、壁に後頭部、肩甲骨間、腰の後ろをつける。
*この時に、ランバー(広背筋部:下図参照)も壁につけようとしながら、みぞおちの後ろを脊柱方向へ引き込み、つむじをさらに上に伸ばしていく。

②上の姿勢を作ったら、息を吸いながら膝を曲げて
③息を吐きながら両足で床を押して脚を伸ばす。
*この時に、後頭部、肩甲骨の間、広背背筋部分、腰の後ろが壁から離れないようにする。
次の動画で上のやり方を説明していますのでやってみてくださいね!(クリックした部分から見れます)
3、引き上げを強化するための5つの体幹トレーニング
次に、上のような引き上げを強化するために体幹のエクササイズを5つご紹介します。
1,腹横筋と横隔膜のトレーニング
1、ペルビックティルト
やり方
①背骨をまっすぐにしたまま、トイレを我慢するように(おしっこを我慢するように)骨盤底筋も使い、おへそを凹ませ骨盤をおへその方に傾ける。(写真1)
②息を吸いながら、骨盤を床と平行に戻す。(写真2)
これを6〜8回繰り返す。


2、普通の骨盤の位置でお腹を凹ませる(ピラティスで行うニュートラルの腹筋)
この腹筋は、骨盤を動かさずにお腹を凹ませるので、上のやり方より少し難しめですが、バレエやダンスをする方には重要な腹筋になります。
やり方
①ウエストの後ろには、自然なアーチを作り、背骨と骨盤をまっすぐにして、坐骨の上に座る。(写真1)
②トイレを我慢するように骨盤底筋を使い、おへそを背筋の方に引き込むように、腹筋を使う。(写真2)
これを6〜8回繰り返します。


ポイントは、呼吸をしっかり使い、深層筋である横隔膜と腹横筋をしっかりと使うことです。
息を吸う時には、腹横筋がストレッチされるので、しっかりと息を吸いきり
息を吐く時には、横隔膜が上に上がるので、しっかりと息を吐き切ります
こうすることで、背骨に近い深層の筋肉がしっかりと働き、体が引き上がっていきます。
2,腹斜筋のトレーニング
腹斜筋はウエスト部分の両脇に付いている筋肉ですが、体の引き上げをキープするためにも重要な筋肉です。
上の「引き上げの腹筋」を使いながらやると、さらに強化されます。
回数は、左右交互に10回くらいやってみましょう。
下に具体的なやり方の動画をアップしています。
3,腹直筋のトレーニング
腹直筋は、お腹の表面にある腹筋になりますが、呼吸を意識しながら行うことで、深層筋からしっかりと体幹を鍛えられます。
回数は、最初は1セット10回ぐらい徐々に3セットくらいまで増やせるといいでしょう。
ビデオをアップしてありますので参考にしてみてください。
4,背筋(僧帽筋下部繊維、脊柱起立筋、広背筋、など)のトレーニング:スワンダイブ
次は、体の背面の背筋のエクササイズです。
回数は5回くらい引き上げに使う腹筋を意識しながらやるのがポイントです。
やり方は、ビデオを参考に。
5,体幹のトレーニング:スパインツイスト
スパインツイストは、引き上げを保持したまま脊柱を回旋させて、体幹の筋肉を強化するエクササイズです。
呼吸を使って、背骨を伸ばしながら、ウエストからねじるのがポイントです。
両脚を伸びた状態で腰が床と垂直にならない場合は、ひざを曲げて構いません。
回数は、左右交互に6〜8回。
やり方は下のビデオを参考にしてみてください。
まとめ
バレエで求められる「引上げ」をするために、胸を上げすぎたり、背中を反らせるするのは、間違った引き上げ方になります。
体を引き上げるには、呼吸や深層筋を使って、全身を上下に引き伸ばすことが大切です。
今回紹介した体幹トレーニングやスパインツイストは、その「引き上げ」を保ったまま動くための練習として、とても効果的です。
引き上げが変わると、姿勢が安定し、ダンスの動き方や動きの質にも変化が現れてきます。
日々のレッスンやセルフケアの中で、ぜひこの「引き上げ」を意識して取り入れてみてください。

