柔軟性を向上させる ピラティスのストレッチ法

柔軟性を高めたいと思ったとき、多くの人がまず思い浮かべるのが「ストレッチ」ではないでしょうか?
特にダンサーにとって柔軟性は大切な能力のひとつですが、自己流で間違ったストレッチを続けてしまうと、かえってケガの原因になってしまうこともあります。

実際、以前のブログでも、オーストラリアバレエカンパニーの例をあげて、長時間の静的ストレッチはバレエダンサーの筋出力を低下させ、パフォーマンスや怪我予防にマイナスとなる可能性があるという記事を紹介しました。
▼参考記事

では、安全に、そして効率的に柔軟性を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
ピラティスでは,硬くなった関節や筋肉をほぐして徐々に柔軟せ雨を高めることができます。
ここでは,ピラティスでは使われるストレッチ法について説明し、ピラティスが柔軟性を高める理由について説明します。

ストレッチの分類とピラティスのストレッチ法

『ストレッチング・マニュアル』(医道の日本社)によると、ストレッチには以下の5つの種類があります。

  1. 静的ストレッチ(静止したままのストレッチ)
  2. 動的ストレッチ(リズミカルな動きを伴うストレッチ。ダイナミック/バリスティックを含む)
  3. 自動的ストレッチ(他に頼らず自分の力でするストレッチ)
  4. 他動的ストレッチ(他者や器具の助けを借りるストレッチ)
  5. PNFストレッチ(神経筋促通法)

この中で、ピラティスでは、2.動的ストレッチ、4.他動的ストレッチを用いて柔軟性を向上させます。
さらに、必要に応じて「5.PNFストレッチ」の要素も取り入れて行うこともあります。

スプリング張力で柔軟性と筋力を同時に高める

ピラティスマシンの特徴は、スプリングによる抵抗(張力)を調整できることです。

例えば、強めのスプリングを使って筋力強化をしたり、弱めのスプリングを調整してて使うことでストレッチ効果を得るという、2つの使い方ができます。

そして、柔軟性を高める目的では、他動的ストレッチのように外部の力(スプリングやストラップ)を使いながら、動的に体を動かすことで、無理なく安全に可動域を広げていくことができます。

実例:ストラップを使った「レッグサークル」で股関節の柔軟性アップ

ピラティスの代表的なエクササイズのひとつが、ストラップを使って行う「レッグサークル」です。仰向けで寝た状態から足にストラップをかけ、円を描くように脚を股関節から動かします。

スプリングの張力が脚をサポートし、仰向けで体幹を安定させたまま、脚を股関節から動かせるので、筋肉をリリースしながら股関節の柔軟性を高めることができます。
これはまさに、「他動的ストレッチ+動的ストレッチ」の組み合わせのストレッチであり、これを行うのがピラティスなのです。

ただし、やり方を間違えると腰を反らせすぎたり、股関節を正しく動かせなかったりすることがあるため、必ず指導者のもとで正しいフォームを学ぶことが大切です。

まとめ:柔軟性を高めたい人にこそ、ピラティスは最適

ピラティスは、目的に合わせて「ストレッチ」としても「筋力トレーニング」としても活用できるのが大きな魅力ですが、

関節の可動域を安全に高められるように、スプリングやピラティスマシン、セラバンドなどを用いて、体の硬い部分を無理なく伸ばしながらストレッチしていく方法を取ります。

このようなストレッチ方法を用いるピラティスは

次のような方々に、非常におすすめです。

  • ダンサーのようにしなやかな身体が必要な方
  • 年齢とともに体が硬くなってきたと感じている方
  • 自分でやるストレッチでは柔軟性に限界を感じている方


「ただ伸ばす」だけでは得られない、しなやかに動ける柔軟性を、ぜひピラティスで体感してみてください。

参考文献

イラストでわかるストレッチングマニュアル マイケル・J. オルター (著), Michael J. Alter (原名), 山口 英裕 (翻訳) 大修館書店