ダンスクラスだけでは足りない？ダンサーに必要な補助的なトレーニング”のすすめ

「ダンスの上達には、たくさんレッスンを受けて踊るしかない」
と思っていませんか？

実は、ダンスパフォーマンスを高めるためには、レッスンで行う以外の補助的なトレーニング（有酸素運動、筋トレ、コンディショニング）が効果的であることが、ダンス、バレエのトレーニングを研究する研究者や研究機関によって明らかになってきました。

今回は、モダンダンスを学ぶ学生を対象に行われたある研究をもとに、ダンサーにとって、なぜこのような補助的なトレーニングが必要なのかを解説します。

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なぜダンサーに補助的なトレーニングが必要なのか？

ダンスは芸術表現であると同時に、非常に高度な身体運動でもあります。
しかし、他のアスリートと比較すると、ダンスのクラスレッスンでの運動強度は、発表会や公演のための長時間のリハーサルに耐えられるほどの強度がないことが多いのです。
そのため、次のような問題が起きやすくなります。

• 踊っていて息切れしやすく、１時間以上リハーサルが続くとすぐに疲れてしまう。（持久力不足が原因）
• 筋肉に疲労が溜まりやすく、肉離れや捻挫などの怪我をしやすい（適度な体のコンディショニングが不足している）

また、スマホを使う時間が長くなったり、階段を登ることや歩くことが少なくなった現代人は、日常生活での運動量も減っており、
若いダンサーであっても基本的な体力が不足しているケースが多くなっています。
つまり、もっと「体力（筋力、有酸素運動が必要とされる持久力）をつける時間」が必要になってきているということです。

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研究が示す効果：12週間の有酸素運動＋筋力トレーニング（ ピラティス含）

この研究は、英国のウルヴァーハンプトン大学とギリシャのテッサリア大学のスポーツ医学の研究者が共同で行なったもので、
あるモダンダンススクールのダンス学生男女を、対象に12週間にわたる筋力トレーニング（ピラティスを含む）プログラムを実施し、１２週間トレーニングをする前とトレーニング後の有酸素能力、脚の筋力、柔軟性、ダンステクニックの精度を計測するという研究でした。

そして、トレーニングの内容は下記のようなものでした。

• 有酸素運動（週2～3回）：水泳・ジョギング・サイクリング（20～40分）
• 筋力トレーニング（週最大3回・50分）：上半身・下半身の筋力鍛えるピラティスやウェイトのトレーニング

結果は、１２週間上記のようなトレーニングを行ったモダンダンスのダンス学生は有酸素能力、脚の筋力、柔軟性、ダンステクニックの精度のすべてに有意な向上が見られました。

つまり、補助的に有酸素運動と筋力トレーニングを行うことで、ダンスを学ぶ学生たちはダンステクニックを向上させることができたのです。

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「筋トレは見た目がマッチョになるからだめ！」…本当にそうですか？

多くのダンサーや指導者は、「筋力トレーニングをすると体型がマッチョになって、見た目が悪くなる」と誤解しています。

しかし、この研究を含む複数の報告では、筋力が増加しても、ダンサーの体型や、動きの美しさ（審美性）には悪影響はなく、
むしろ疲れにくくなり、余裕を持ってダンスを踊れるようになる。という結果が出ています。

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補助的なトレーニングがもたらす健康面でのメリット

また、有酸素運動や筋力トレーニング（ピラティスによるコンディショニングを含む）などの補助的なトレーニングは、パフォーマンスだけでなく、下記のような、ダンサーのための健康的な体をキープするためにも効果があります。

• 体脂肪の減少
• 基礎代謝の向上
• 腰痛、膝痛、足首の痛みなどの改善
• 持久力、体力、体幹強化

これらは、ダンスを長く続けていくうえでも重要な要素になってきます。

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まとめ：ダンスをうまく踊るための“賢い体の鍛え方”とは？

上記の研究から分かることは、ダンスが上手く踊れる、楽に踊れるようになるためには、

ダンスのクラスレッスンだけでなく、有酸素運動（水泳、ウォーキングなど）や筋力トレーニング（ピラティスを含む）が効果的なトレーニングになることがわかります。
これらの補助的なトレーニングは、体をマッチョに鍛えるというよりも、踊る時に必要な体幹の筋力や持久力などを向上し、踊りの動きも洗練されたものにするので、むしろパフォーマンス力をアップします。

高い芸術性を求められるモダンダンスの世界だからこそ、踊るための体づくりが、最終的なパフォーマンスを大きく左右します。

ダンスをもっと上手く、楽に踊れるようになるため、怪我に悩まされずに踊り続けるために、これらの補助的なトレーニング　
取り入れたいですね！

参考文献：Performance and Fitness Parameters Following 3-months of Aerobic and Strength-Training in Modern Dance Students
Yiannis Koutedakis, Ph.D.
Institute of Sports, University of Wolverhampton, WS1 3BD, UK
Department of Exercise Sciences, Thessaly University, Trikala, Greece