ピラティスのティーザー:柔らかいマットが筋力をアップする!(研究論文に基づく)
ピラティスの中、上級者向けエクササイズ:ティーザー(Teaser)」は、体幹を安定させるための腹筋エクササイズとしてよく知られています。
このティーザーに関する研究で面白い研究があるのでご紹介します。
この研究は、韓国の梨花女子大学体育学科の研究者によって行われたもので、被験者による実験をもとにしたものです。
実験では、被験者にティーザーの動作を 「硬い床」と「柔らかいマット」 でやってもらい、それが体幹の安定性と筋肉のバランスにどのような影響を与えるのかを分析しました。
今回の記事では、この研究の結果からわかる柔らかいマットが筋力のバランスに与える良い影響からピラティスエクササイズにおける負荷のかけ方が、バランスの良い筋肉をつけるのに役立つことを説明します。
目次
1,ティーザーに関する研究(柔らかいマットvs 硬いマット)
この研究では、10人の被験者(ピラティス経験者5名・未経験者5名) を対象に、弾力性のある柔らかいマット(不安定な地面)とアルミの硬さのマット(不安定な地面)でティーザーの動作をやってもらい、その際の 体の動きやバランス時間、筋活動の違い を測定。
体幹の安定性や筋肉のバランスに関してデーターを計測しました。
測定方法は、ビデオカメラで動作を録画、地面反力計(Force Platform, 9872, Switzerland)で床からの反発力を測り、3D体型測定装置(IBS-2000)で筋力バランスを測定し、3Dイメージングシステム(IBS-2000, EXYMA)で測定値を分析するなど、最新の測定機械を用いています。
2,柔らかいマットの方がバランスを長く保てる
この研究の結果、以下のような結果が出たのです。
・柔らかいマットの上では ティーザーの保持時間が長くなる(硬い床よりも約20%長い)
・柔らかいマットでは 、動きがよりスムーズになり、ティーザーの形を取りやすくなる
・柔らかいマットの方が 体幹の筋肉が活性化されやすい
・柔らかいマット面では体重の中心移動がより均等になり、筋肉のバランスが整う
この結果は、 不安定な地面である柔らかいマットが、無意識のうちに体幹の微細な筋肉を使い、バランスを保つための筋肉が働きやすくなる ことを示しています。
3,柔らかいマットは深層筋を活性化させる
研究では、ティーザーを行うときに動く 筋肉の活動 も分析されました。
硬い床の場合は、体幹を支える主要な筋肉(腹直筋、大腿四頭筋)が強く働き、反対に姿勢やバランスを調整をする筋肉(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋)はあまり働かなかった。
柔らかいマットの場合は、主要な筋肉と共に、体幹の深層筋(インナーマッスル)も活発に動き、ティーザー(V字バランス)の姿勢が安定してと長くキープできた。
つまり、柔らかいマットの上でティーザーを行うと、コア(体幹)の安定性が向上し、姿勢を整える筋肉がバランスよく鍛えられるということが言えます。
4,ピラティスの負荷調整と柔らかいマットの類似性
ピラティスのトレーニングでは、硬い床と柔らかいマットによる違いは、スプリングの負荷を調整することで同様の効果を生み出すことができます。
例えば
スプリングの負荷を軽くすると、よりバランスを取る必要があり、体幹の深層筋が活性化し、柔らかいマットと同じように、不安定さを利用して微細な筋肉を鍛えられますが、
スプリングの負荷を重くすると、大きな筋肉が主に働き、筋力のパワーをつけるトレーニングになります。
このように、ピラティスでは スプリングの負荷を軽くしたり、重くしたりすることで、鍛える筋肉を調整 できるため、鍛えたい部分(体幹など)やターゲットとなる筋肉をしっかりと鍛え、さらに初心者から上級者まで無理なくバランスの良い筋肉をトレーニングすることができます。
5,まとめ
今回に記事では、柔らかいマットがバランスの取れた筋力をつけ、深層筋を活性化するのに効果的である ことを示唆する研究をご紹介しました。
この研究より、ピラティスでは、マットの代わりにスプリングの負荷を軽くしたり、重くしたりすることで、深層筋やバランスの良い筋肉を鍛えることができます。
ピラティスでは、「マットは、硬めのほうがいい」ということはよく言われていることですが、柔らかめのマットで、新たな筋力の発見になるかもしれませんね!