ピラティスの基本動作:腹筋のインプリント,ニュートラルとラテラル呼吸

ピラティスは、体幹の安定性と姿勢の改善に重点を置いたエクササイズといえます。

体幹、特に腹筋の使い方では、ニュートラルポジションインプリントポジション の2つは、ピラティスの腹筋のポイントと言えるでしょう。

本記事では、ピラティスの基本動作、腹筋のインプリントとニュートラルポジション、そしてピラティスの呼吸法、ラテラル呼吸について詳しく解説します。

1. ピラティスの基本動作:インプリント、ニュートラル、ラテラル呼吸

ピラティスの基本動作では、正しい姿勢と体幹の安定性(コアの強化)の感覚も身につけることが必要です。

特に 脊柱を支える骨盤(コア)を安定させる腹筋を上手く使うと姿勢も良くなります。
そしてその基本動作には次のような2つの腹筋を使うポジションと呼吸法があります。

  • ニュートラルポジション:脊柱の自然なS字カーブを保つ腹筋。骨盤の左右の腸骨と恥骨をむすんだ三角形が床と平行になる
  • インプリントポジション:骨盤を軽く後傾させ、腰部を中心に背中を床につける
  • ラテラル呼吸:肋骨を横と背中を広げる呼吸法。横隔膜を働かせながら呼吸する。

2.ピラティスのインプリントとは?

インプリントポジション は、体幹を安定させるために骨盤を軽く後傾させ、腰部を中心に背中をマットに密着させて使う腹筋です。

このポジションの腹筋は次のような特徴があります

  • お腹の力を感じやすく、初心者でも腰を守りながらエクササイズできる
  • 外部からの力に防御的に構えるときに主に働く

インプリントポジションは、特に腰の負担を減らしたい場合や、腹筋を意識したい場合に有効です。

インプリントのやり方

1、両膝は拳一個分(骨盤の幅)開き、骨盤を安定させた姿勢で仰向けになる。

2、息を吐きながら、坐骨を少しよせるようにお尻を軽く締め、お腹を平らに、背中を床にピタッとつける。

3.ニュートラルポジションは姿勢を安定させる

ニュートラルポジション は、骨盤と脊柱に自然なS字カーブがある状態ですが、次のような特徴があります。

  • 姿勢を支えるための基本姿勢:脊柱の自然なカーブを保ちながら、骨盤を安定させ、姿勢を支えます

ニュートラルのやり方

1、両膝は拳一個分(骨盤の幅)開き、骨盤を安定させた姿勢で仰向けになる。

2、左右の腸骨(ASIS)と恥骨をむすんだ、三角形の面が床と平行になるように腹筋を保つ。
*なので、腰の後ろに軽いアーチができます。

4. 日常動作ではインプリントとニュートラルの両方を使っている

私たちは、 インプリントもニュートラルも、腹横筋や横隔膜などのインナーマッスルを使う腹筋になりますが、実際はこの2つの腹筋を使って、日常生活を送っています

例えば、

  • 立っているときや歩いているとき 、腹筋はニュートラルポジションを保ち、脊柱の自然なカーブを維持しています。
  • 物を持ち上げたり、重心を低くするとき の腹筋はインプリントの要素が強まり、腹筋に力が入りやすくなります。

特に、スポーツでは、ニュートラルとインプリントのバランスを調整しながら体を動かしています。
また、日常生活では、私たちは無意識のうちに、ニュートラルとインプリントの両方を使い分けて動いている のです。

ピラティスでこれらの腹筋を意識的にトレーニングすることで、姿勢が改善し、運動のパフォーマンスも向上させることができます。
しかしながら、これらの腹筋を見よう見まねで行ってしまうと、表層の腹直筋を使ってしまったり、腰を痛めたりしてしまいがちなので、最初は、指導者のもとで見てもらいながら行うほうがいいでしょう。

5. ピラティスの呼吸法:ラテラル呼吸

ピラティスでは 「ラテラル呼吸」 を用いますが、この呼吸法で、体幹を安定させたまま十分な呼吸をすることができます。

半胸式呼吸とも言われるこのラテラル呼吸の特徴は

  • 肋骨を横に広げる:息を吸うときに胸郭を広げ、横隔膜を意識的に動かす。
  • 体幹を安定しながらできる呼吸:腹部を膨らませる代わりに、肋骨を横、背中側に膨らませるため、肋間筋が鍛えられ、呼吸が深まる。
  • この呼吸法を意識することで、より効果的に体幹を強化でき、気持ちも集中できます。

ラテラル呼吸についての動画は下のリンクから

まとめ

ピラティスの基本動作である腹筋の ニュートラルポジションインプリントポジション の習得は、腰痛などの痛みを改善するためや運動のパフォーマンス向上のためのに効果的です。

また、ピラティスの基本動作であるラテラル呼吸を練習することで、普段の呼吸も深めます。

これらの基本動作を身につけ、色々なピラティスエクササイズをすることで、腰痛などの痛みのない体づくり、姿勢改善、さらには運動のパフォーマンスも向上していくことができるのです。

参考文献

リハビリテーションのためのピラティス Samantha Wood 著 中村直人、小山貴之訳

アナトミートレイン 第4版 Web動画付 徒手運動療法のための筋膜経線 Thomas W.Myers (著), 板場英行 (翻訳)