ピラティスとは?その歴史とエクササイズの特徴からわかるメリット
目次
ピラティスとは?
ピラティスとは、身体と心を整える身体調整(コンディショニング)エクササイズです。
ピラティスの語源は、 ドイツ人であるピラティス創始者ジョセフ・ピラティスの名前に由来します。
彼は小さい頃から体が弱く、喘息などに悩まされていました。
そんな彼が、自分の体を健康的に、より強くするために開発していったのがピラティスという身体調整エクササイズなのです。
ピラティスの歴史
ピラティスは小さい頃から体が弱かったということは、お話ししましたが、そんな病弱な体を克服するために、10代の頃は、体操、ボクシング、柔術、ボディービルディングなどをして自分の体を鍛えました。💪
これは、体操教師であった父の影響が大きかったと言われています。熱心なトレーニングの末、ピラティスは体操選手として、またボディービルダーとしての体を手に入れました。
英国に渡ってからは、プロのボクサーとして活動する一方、サーカス団で、団員の体のコンディショニングもしていました。
ちょうどその時、第一次世界大戦が勃発。ドイツ人であったピラティスは、敵国人という理由で収容所に入れられ、収容所内の負傷兵などに、リハビリ運動を教え始めたのです。
ピラティスは、ベットに寝ていて動けない負傷兵のベットの下からスプリングを引き出し、筋肉を動かす負荷としてリハビリの運動を指導しました。今あるピラティスマシンはこの時のピラティスのアイデアが元になっています。😃
その後、ピラティスはアメリカ・ニューヨークに渡り、渡航中に運動を教えたクララと結婚。
ピラティスの教えるエクササイズは、ニューヨークではダンサーやバレリーナの体のコンディショニングとして広まりました。
アメリカの多くのバレエ団やブロードウェーのダンサーたちの間で、彼のエクササイズの効果が評判になっていきました。
特にニューヨークシティーバレエの芸術監督ジョージバランシンは、「怪我をしたらジョー(ジョセフの略称)のところへ行け」とダンサーたちにいってダンサーたちをピラティスのスタジオに送ったと言います。ダンサーたちはピラティスのことを”ジョーおじさん”と言って親しんでいたとのことです。
また、モダンダンスのマーサグラハムもコンディショニングとしてピラティスエクササイズを学んでいました。
ダンスに対して興味を持ったピラティスは、戦後ドイツに一時帰国した際に、ルドルフ,ラバン(ラバンノーテーション:舞踊譜の創始者)とも一緒に仕事をしています。
*ラバノーテーション(舞踊譜)や動きの分析法を開発したルドルフ、ラバンについてはこちらの記事から
現在、ピラティスには「クラシカル」と「コンテンポラリー」という2つの流派が存在し、オリジナルのメソッドを指導する流派をクラシカルピラティス、現代的な要素を組み合わせたコンテンポラリーピラティスと呼んでいます。
ピラティスのエクササイズの特徴
ピラティスのエクササイズは、呼吸と共に、インナーマッスル、骨と関節をその可動範囲で調和して動かすエクササイズといえます。
ピラティスエクササイズの原則(クラシカルピラティスの6原則)
ピラティスエクササイズを効率よく行うためには、注意する原則があり
元々のピラティスには6つの原則があります。それは、呼吸、コントロール、センタリング、流れ、集中、正確さです。
これらをピラティスのエクササイズをする時に、注意しながら行うことで、エクササイズをよりよりより体に効かせる事ができます。
現在は流派によって、この原則を6原則から発展させ、10原則とするところもあります。
*ちなみに、当スタジオボディームーブでは、6つからさらに詳しく10の原則を設けています。
それらは、1、アウェアネス 2、コンセントレーション 3、コントロール 4、ブレス(呼吸) 5、センタリング 6、フロー 7、バランス 8、アティキュレーション 9、コア、パワーハウス 10、リラックス
です。
これらの原則をしっかりと注意しながら、エクササイズを行うことで、体の変化の度合いや、姿勢改善などの効果が格段に違ってきます。
エクササイズの種類:マットピラティス、マシンピラティス
ピラティスには、マットのみを使用して行われるマットピラティスと、ピラティスが開発したピラティス専用マシンを使用して行われるマシンピラティスがあります。
マットピラティス
マットピラティスはマットの上でうつ伏せ、仰向けなどで行い、主に自重のエクササイズです。
マットピラティスにはグループレッスンとプライベートレッスンがあり
グループレッスンでは、1人の指導者に対して6ー7人と少人数で行うのが良いとされていますが、20人くらいのクラスで行うこともあります。
グループレッスンでは、全員のニーズに応えるように体幹部を中心として全身満遍なく鍛えるプログラムを行います。
指導者によっては「肩コリ改善クラス」や「体幹強化クラス」など特別な目的のためのクラスもありますし、クラスの目的によっては、セラバンドやギムニクボールなどの小道具を取り入れておこなうクラスもあります。
グループレッスンでは、他の受講者と一緒にやるとモチベーションも上がり、共通の話題で盛り上がったりできるのも楽しみの一つです。
*クラシックピラティスのマットエクササイズには34のエクササイズがありますが、
Easyvigourのサイト(ピラティスインストラクターの書いたもの)に34のマットエクササイズがまとめてあるので、興味があったらこちらから(英語ですが、イラストでエクササイズがわかりやすくなっています)
プライベートレッスンでは指導者と一対一なので、より体づくりに集中できるメリットがあります。
さらに個人の体に合わせて、ピラティスマシンの他に、マジックサークルを使ったり、効率よくエクササイズできるので、自分の体の悩み「特にお尻を引き締めたい」「足のO脚を治したい」という個人的な体の悩みを解消するのにおすすめです。
マシンピラティスクラス
ピラティスが開発した専用のマシン、(リフォーマー、キャデラック、バレル、チェア)など使用して行われるクラスです。
1対1のプライベートレッスンがメインになりますが、リフォーマーを使ってのグループレッスンをやるところもあります。
これらのマシンでスプリングの強度を変えたり、付属のボックスを使ったりすることで、そのエクササイズの数は100を優に超えて行うことができます。
また、このスプリングの調整は動きのサポートや筋肉への負荷やストレッチなど多様に使う事ができ、
例えばリバビリが必要な人向けには、動きをサポートするように、
強靭な肉体を持つアスリート等へは筋力の強度を上げるように、
柔軟性が必要な人には、筋肉の収縮を良くするほど良い負荷になります。
そのため、マットピラティスではできないエクササイズもマシンを使うと、しっかりと筋肉を意識しながらエクササイズができる点がマシンピラティスの大きなメリットです。
マシンを使ってのエクササイズでは、感じ取ることが難しい深層部の筋肉や関節の動きにまで意識を向けて動かすことができるようになり、クライアントの目的に応じて、トレーナーは使い方を工夫します。
ピラティスエクササイズにあるポジションと名前
また、ピラティスエクササイズには、体のボジションがあり、エクササイズには名前のついたものもあります。
例えば、腹筋の使い方による骨盤のポジション(ニュートラル、インプリンティング)は、腹筋の2種類の使い方を表すポジションです。
また、エクササイズにも名前があり、シングルレッグストレッチ、レッグサークルなど動きを説明する名前の他にシザーズやスワンなどのポーズや動き方のイメージに由来するものもありユニークです。
これらのピラティス用語は、家でやるときや、クラスやグループでエクササイズをする時に、覚えているととても役に立つので基本的なものは覚えてしまいましょう。
どんな人に どのように ピラティスの効果があるのか?
ダンサー・アスリートのためのトレーニング,リハビリのためピラティス
ピラティスは、ダンサーやアスリートにとって効果的なトレーニングであり,コンディショニングでもあります。
体を鍛えるトレーニングの点で言えば、体幹を強化しバランスよく筋肉をつけることで、パフィーマンスが向上し,柔軟性も高まります。ダンサーはインナーマッスル(リンク)を鍛えることで、筋肉のつき方がしなやかになり見た目が良くなります。
またダンサーやアスリートにありがちな膝、脚、腰などの怪我をリハビリするのに適したコンディショニング法でもあります。
2024年パリオリンピックで3回目のオリンピック出場をはたしたオーストラリアのバスケットボール選手、カイヤ・ジョージは、2020年の東京オリンピックの時にピラティスを自身のコンディションングとして始めてその効果を実感し、それ以後は毎日のようにピラティススタジオでのトレーニングをしていると語っています。
その彼女が若いバスケットボールの選手に次のようなメッセージを送っています。
「30歳になる前、できるだけ早くピラティスを始めましょう!(笑)。今ではとても役立っているけど、20代前半に始めていればもっとよかったのにと思うわ。…」
セレブや女優など体を引き締めに人気のピラティス
ピラティスはハリウッドのセレブリティやモデルも人気のエクササイズです。
その理由は、体幹をしっかりと鍛えながら、姿勢改善や筋肉の引き締めに効果があるからです。
ピラティスの動きはインナーマッスルで腰やお腹、脚のラインを整えるため、理想的な体型を目指す人々には最適なエクササイズです。
K-popの女性アイドルたちのスタイルの良さも、ピラティスエクササイズを取り入れているためですね。😃
体型だけでなく優雅で、しなやかな所作もピラティスの賜物です。ハリウッド女優でもあるブリジット,エクランドはピラティスの効果を次のように言っています。
「私は横に太る体質です。ピラティスで教わる正しいアラインメント(骨格の並び)は私の体型を狭めてくれました。体を中心から引き上げると、腰の周りのだぶつきがなくなってきます。…」
出典:Everybody is Beautiful ピラティスで体の中から美しく ロン,フレッチャー 著 川名昌代 訳
体の痛み,歪み改善,身体機能回復のリハビリとしてのピラティス
ピラティスは、身体の機能を回復するためのリハビリテーションにも広く利用されています。身体に無理のない動きを通して、骨折や捻挫などの怪我からの回復をサポートするだけでなく、腰痛や肩こり,股関節の痛み、膝痛など、体の歪みや筋力不足が原因で起こる慢性的な体の痛みを解消するエクササイズでもあります。
日本でも、理学療法士がピラティスの資格を取ってリハビリに取り入れ始めています。腰痛や肩こり、膝の痛みなど、慢性的な痛みのの改善を行っています。
米国では、多くの病院やクリニックでもピラティスをリハビリ法として提供している場所が増えています。
米国在住のピラティスインストラクター兼理学療法士であるサマンサ,ウッドは、ピラティスの指導を病院内の整形外科で行なっているトレーナーです。
彼女の書いた書籍には、リハビリ中心のピラティスエクササイズが載っていて、ピラティストレーナーには参考になる書籍です。
参考書籍:リハビリテーションのためのピラティスー運動器障害からの回復と機能の適正化 Samantha Wood (著), Rael Isacowitz (その他), 中村 尚人 (翻訳), 小山 貴之(翻訳)
体が変わるピラティスのメリット:バランス良い筋力、姿勢改善、体の痛み&歪み解消
ピラティスの最大のメリットは、そのエクササイズによって、体型が変わる、体が変わることです。
身体面だけでなく、ストレス解消や集中力の向上など、メンタル面にも良い影響があることが研究でも明らかになっています。
下の研究論文では、更年期の女性にあるホルモンの変化に伴う心理的ストレスを緩和する効果があるというデータが出ています。
出典:Efects of Pilates on health and well-being of women Bulletin of Faculty of Physical Therapy (2023)
創始者ジョセフ・ピラティスの名言「10回で違いを感じ、20回で見た目が変わり、30回で新しい体に生まれ変わる」にあるように、ピラティスは、継続することで身体に大きな変化をもたらします。
身体の変化とは、
バランスの良い身体になる
体が引き締まる
柔軟性の向上
姿勢改善による肩こり&腰痛の解消
深層筋を整えて膝痛など関節痛の解消
体の歪みが解消しスタイルが良くなる
などさまざまです。
まとめ
ピラティスは、ジョセフ・ピラティスによって創始され、体幹強化、姿勢改善のほか、体の痛み、歪みの解消などリハビリ効果を持つエクササイズです。このように、長い間人々の間で実践されてきたピラティスは世界中の人たちに広まることで、発展してきたと言えるでしょう。
身体だけでなく、メンタルの安定にも効果のあるピラティスは、上のような、アスリートや体型を変えたい女優などの特別な人だけでなく、初めての方でも無理なく始められ健康維持の目的で、その効果を実感することができます。
毎日の運動として、取り入れていきたいですね!