ピラティスでバレエが上達する5つ理由と上達するバレエテクニックは?

バレエダンサーがより美しく安定したバレエテクニックを手に入れるために、ピラティスは効果のあるトレーニング方法です。

多くのバレエカンパニーでは、ピラティスをダンサーの体のトレーニングやコンディショニングとして取り入れています。バレエ団の専属ピラティストレーナーはダンサーたちが体を痛めないように彼らの体のケアやトレーニング方法をアドバイスしているのです。
ダンサーたちは、長期的に踊り続けるために、筋力のバランスを保ち、踊っている時に怪我をしないように体の調子を整える方法をピラティスで学びます。

よく知られているロイヤル・バレエ団ニューヨーク・シティ・バレエ団など公演の多いバレエカンパニーは、ピラティストレーナーも一緒にツアーに出てダンサーのケアとトレーニングにあたります。

このように、プロの現場でもピラティスはバレエを踊る体づくりのために重要なエクササイズですが、アマチュアダンサーや趣味でバレエを楽しんでいるダンサーにとっても、バレエのポーズ(アラベスクやアチチュード)、ポジション(足の1番ポジションや5番ポジション)やパ(バレエのステップ)は難しく感じるのではないでしょうか。

例えば、アラベスクなどの難しいポーズでは、体幹の筋力とコントロール力を強化する必要があり、そのためにピラティスマシンや器具を使ったエクササイズは、効果を発揮します。そのほかにも、ピラティスにはバレエのアンディオール(脚を外開きにする)や身体を引き上げる腕の使い方などを学ぶためのエクササイズがたくさんあります。
*バレエの腕の使い方に関してはこちらの記事にも書いています。

そこでこのブログでは、ピラティスがバレエにどのように役に立つのか、その理由を5つのポイントに分けて詳しく解説し、さらにピラティスによって劇的に変わるバレエテクニック(アラベスクと回転のテクニック(ピルエット))のためのピラティスについてもご紹介します。

1. 良い姿勢のための体軸を作るピラティスでピルエット(回転技)が向上

ピラティスでは、体幹の安定性を強化し、骨盤や背骨の位置を整えることが重要なポイントになります。
そしてこれは、バレエの基礎である正しい姿勢(ポスチャー)を保つためにも必要なことです。
バレエの正しい姿勢では、腰が引き上がった長いラインの姿勢が特徴的ですが、ピラティスはこの姿勢を作るのとても良いエクササイズなのです。

姿勢の良いバレエダンサーは、背骨が自然なカーブを保ち、肩が下がり、首がすーっと伸びた姿勢をしています
このような姿勢のダンサーは筋肉のつき方もしなやかで、体に軸があるので、ピルエットなどの回転も上手く、身体に無駄な力を入れずにピルエット(回転技)を回ることができます。

一方、悪い姿勢のダンサーは、背中が丸く、首が縮んでいることがよくあります。
このような姿勢では、肩や首に力が入ってしまい体幹が弱くなるため、体軸も定まりにくくなります。
そのため無駄な力で動いてしまい、踊りもギクシャクしてしまうのです。

ピラティスでは、このような悪い姿勢を改善し、バレエのテクニック(回転技など)を向上のため、表現豊かに踊るための体幹や背中の筋肉を正しく使うトレーニングを行います。

具体的にいうと、ピラティスの体幹部のエクササイズ(骨盤のニュートラルポジションを強化するEX)は骨盤の位置が安定させますが
骨盤が安定する背骨が伸びやすくなるため、その背骨のインナーマッスル(脊柱起立筋や多裂筋)の強化もピラティスでじっくり鍛えることができます。

このようにピラティスで体軸を作ることで、バレエで求められる美しい姿勢を身につけることができるのです。

2. ピラティスで養うコントロール力と体の感覚への意識(アウェアネス)で上達するポーズ:アラベスク

また、ピラティスは動きの質に注意を払い、どの筋肉を使っているかを意識することを重視します。
このように体の動きの感覚に対して意識を持つことは、アラベスクなどのバレエテクニックの向上にもなります。

例えば、アラベスクで脚を後ろに上げる時に、ただ脚を上げるだけでは美しいポーズになりませんよね。

アラベスクのポーズを綺麗にするには、

肩や腰に余分な緊張を入れずに、肩甲骨を引き下げるための広背筋と安定した骨盤が重要でこの背筋、腹筋、臀筋をバランス良く使い、脚を後ろに引き伸ばしていくことが重要になります。

バレエのバーレッスンでは、これらの筋肉の使い方がわかりにくい場合がありますが、ピラティスのマシンや器具を使ったトレーニングでは、広背筋や体幹の動きを実感しやすく、効率的に鍛えることができます。

ピラティスで腹筋、背筋、お尻に筋肉をバランスよくトレーニングすることで、脚を後ろに90°に上げて、より安定したアラベスクをすることができるのです。

また、バレエのポジション(脚を外開きにする1番ポジションや5番ポジションなど)を安定させるためには、内腿の筋肉を意識できるピラティスマシンのフットワークで内腿を鍛えれば、バレエでのターンアウトもできるようになります。

3. インナーマッスルを使うことで体型もスラリとする

ピラティスで使うインナーマッスルを強化するので、体をしなやかにコントロールして踊ることができ、すらっとした美しい体型を保てるということができます。

バレエでは、外からの見た目の美しさも重要になってきますが、ピラティスでトレーニングする体の奥深くにあるインナーマッスルを使えば、外側のムキムキした筋肉に頼らずに動けるようになります。

余談ですが、昔、海外でダンスカンパニーのオーディションを受けていた時に
友人かあるバレエカンパニーのオーディションで、カンバニーのディレクターがオーディションを受けにきたダンサーを全員、後ろ向きにして並べ、スタイルのいい人だけを第1次選抜に残したという話を聞いたことがあります。😀

ピラティスで深層筋をトレーニングしていれば、ポーズも美しくなり、このようなオーディションにも自信が持てるようになります。(笑)

4. 柔軟性の向上

ピラティスは、筋肉を強化するだけでなく、柔軟性を高めるエクササイズも多く含まれています。
ピラティスで行うストレッチは、筋肉をストレッチしながら動かすものもあり、そのほか関節を動かすエクササイズもあるので、筋肉や関節の可動域が広がり、バレエの踊りに必要な柔軟性を向上させることができます。

バレエでは、足を高く上げたり、アラベスクやグラン・バットマンを行うためにも柔軟性が必要ですが、
ピラティスをすることでこのような脚腰の柔軟性を高めることができ、バレエの動きをより滑らかに行えるようになります。

例えば、アラベスクやグラン・バットマンのような高度なバレエの動きでは、脚を高く上げるために、脚や股関節の柔軟性が必要ですが、ピラティスをすることで、ハムストリングや臀筋、股関節周辺の柔軟性を高め、足を高く上げることもできるようになります
また、関節を動かすピラティスのマシンのエクササイズでは、体幹を安定させた状態で関節を回せるので、関節を滑らかに動かしロンデジャンブ(脚を股関節から回す)もスムーズにできるようになります。

ピラティスで、関節の可動域が広げて、筋肉の柔軟性も高めることで、優雅で流れるように踊ることができ、踊りのパフォーマンスの質も向上します。

5. 怪我の予防

ピラティスは、バランスの取れた筋肉の発達を促し、体の左右差や柔軟性、筋肉を改善することで、怪我のリスクを減らします。
振付を踊る時は、無理な動きをしたり、繰り返して同じ動きをしたりなど筋肉に不均衡が生じやすいですが、ピラティスでは全身の筋肉や関節の動きををバランスよく調整します。
特に、バレエダンサーにありがちな膝や足首、股関節の怪我を減らすための体の動かし方をトレーニングするので、長期間にわたって怪我なく踊り続けるための土台が築かれます。

また、ピラティスはエクササイズの中での筋肉をコントロールして動かすこと学ぶため、バレエでのステップや動きもコントロールしやすくなります。
なので踊っていてとっさに、危ない!と思った時は、怪我を避け動作や感覚も身につくようになります。

まとめ

多くのバレエカンパニーで取り入れられているピラティスはダンサーの体づくり、怪我防止、踊りの上達のためにとても重要な役割を果たしています。
ピラティスは、姿勢を改善し、柔軟性を高め、怪我を予防し、踊る時のコントロール力を高め、自分の体の感覚に気づきを与える 意識を向上させます。

さらに、ピラティスでインナーマッスルを鍛えることで、外側の筋肉がつきすぎないスラリとした体型を保ち、見た目の美しさも向上します。
このようなピラティスの効果により、バレエダンサーはパフォーマンスを向上し、長い公演ツアーの時も踊る体を維持することができるのです。

いかがでしたでしょうか。ピラティスはドイツで始まり、ニューヨークでバレリーナやダンサー、女優たちに人気のあるエクササイズとして発展してきました。バレエが上達したい体を変えたいと思っている方、まだ試していなければ、一度ピラティスを試してみることをお勧めしたいです。