ダンスの動きを助ける4つの呼吸法|バレエはラテラル呼吸、コンテ・モダンは動きをコントロールできる太極拳式呼吸法


バレエ、コンテンポラリー、モダンダンス、ジャズダンスなど、ダンスを踊る時は、十分な呼吸をすることでさらに、ダンスのパフォーマンスが良くなりますが、

肩に力を入れて、息を詰めて十分に呼吸をしないまま踊っていたなんてこともありがちです。

ですが、呼吸は体幹の安定・しなやかさ・体の重心移動など動きをコントロールするためにも重要です。

同じ動きをしても、呼吸法を変えるだけで動きの質が大きく変わります。

そのため、呼吸練習もダンス上達には欠かせない練習とも言えるでしょう。

そこでこのブログでは、まず呼吸の構造と、
基本的な呼吸法である腹式呼吸と胸式呼吸、
ピラティスやバレエで使うラテラル呼吸、
最後に、コンテンポラリーダンス、ジャズダンス、モダンダンスに応用できる太極拳式呼吸法をご紹介します。

それでは呼吸の構造から説明します。

①呼吸の構造

呼吸をしているとき、私たちの体の中では「息を吸う」「息を吐く」という動きに合わせて、いくつもの体の機能が連動し、酸素を体内に取り入れています。


息を吸うとき(左下図)

息を吸うと、図のように肺の中に空気が入り、それに伴って胸郭が広がります。
同時に、胸とお腹の間にある横隔膜は収縮し、下向きにドーム状(アーチ状)に下がります。

息を吐くとき(右下図)

息を吐くと、胸郭はゆっくりと縮み、横隔膜はゆるんで元の位置へ戻ります。
このとき、腹筋群が働いて横隔膜を押し上げることで、肺の中の空気が外へ吐き出されます。


② 基本の呼吸①:腹式呼吸——リラックスと安定の土台

腹式呼吸は、寝ている時などのリラックス時に自然とおこなっている呼吸で、お腹を動かす呼吸です。

やり方

まず、両手を重ねてお腹の上に置く。一息吐いてから、
1、お腹の膨らますように息を吸う
2、ゆっくりとお腹をへこますように息を吐く

*腹式呼吸をさらに深めたい時は5拍で吸い、10拍で吐くというように吐く息を吸う息の2倍かけて行います。

*最初は3分くらい(12回くらい)を目安に徐々に長くできるように練習すると呼吸が安定してきます。

座った姿勢で、お腹を膨らませたり凹ませたりするのがわかりにくい場合は、仰向けに寝た姿勢で行ってみると分かりやすくなります。
(下記参照)


③ 基本の呼吸②:胸式呼吸——素早いテンポの動きを支える呼吸

胸式呼吸は、昼間の活動時に自然としている呼吸法で、胸部を動かします。

やり方

1、息を肺のほうに入れる感じで、息を吸って胸部を膨らませます。(右下図参照)

2、息を吐いて、胸部の縮めます。(左下記図参照)

④ バレエ向け:ラテラル呼吸——軸を保ちながらしなやかに踊るための呼吸

バレエでは、上体を引き上げた姿勢を保ちながら踊ることが求められます。
そのため、腹筋や体幹をキープしたまま行うラテラルブリージング(ラテラル呼吸)を主に用います。
そして、この呼吸法はピラティスのエクササイズの一つでもあります。

ラテラルブリージングでは、腹筋の働きを保ったまま呼吸をするため、
下の写真で手を当てている部分(肋骨の下部周囲)を、左右と背中の方向に広げるようにして息を吸います。

この方法で呼吸をすると、体幹の安定が保たれ、
息を吸ったときに起こりがちな肩の持ち上がりも防ぐことができます。

ラテラル呼吸【ダンスで使われる】を動画で、説明しています。

お腹を動かさずに,肋骨を、横と後ろに広げて息を入れる半胸式呼吸です。

下の動画(1:59秒のところから)


⑤ コンテ・モダン・ジャズダンスに応用できる:太極拳式呼吸——動きをスムーズにする呼吸

太極拳式の呼吸法は、「動くこと」を目的とした呼吸法です。

太極拳はもともと武術として生まれたもので、相手の動きを感じ取りながら、自分の体を的確にコントロールする必要があります。
そのため、太極拳では、体全体で呼吸を感じ、その呼吸に動きをのせていくように体を使います。

また、この呼吸法は、太極拳にある「自然界の“気”の流れ」という考え方を応用したもので、呼吸を通して体の内側から気を導き、動きにつなげていく呼吸法でもあります。

やり方

1、息を吸う時はおへそが背中に近づくようにして、胸をはらないように細く長く吸い込みます。

*息を吸う時につむじが天に向かうイメージで行うと、呼吸も姿勢も整ってきます。

2、息を吐く時にその吐く息がおへそから両脚の中を通って土踏まずから地下に入ります。

この呼吸を2、3回繰り返すことで、全身に”気”が巡り(太極拳でいう)「動き始め」る準備が整います。

ダンスのウォームアップをするときでも、この呼吸法をやると、足が地について安定し、背筋も伸び、体にエネルギーが満ちてきます。

このように全身で呼吸を感じ取ることができれば、踊っている時も呼吸と動きはコントロールすることができるようになります。

⑥ 【まとめ】4つの呼吸法を使い分けることで、ダンスはもっと楽に・しなやかに上達する

バレエは天に向かう垂直方向の動きが中心で、体の重心を高く保ちながら踊ります。
一方、コンテンポラリーダンスやヒップホップなどのストリートダンスでは、床を使った動きが多く、重心は低くなります。

このように、ダンスのジャンルによって動きの方向や重心は異なりますが、どのダンスにおいても「呼吸・姿勢・動き」は常に深く関わり合っています。

腹式呼吸・胸式呼吸・ラテラル呼吸・太極拳式呼吸など、さまざまな呼吸法を練習することで、呼吸と動きは自然に調和していきます。
踊るたびに「今、どこで呼吸をしよう」と考えることはありませんよね。
理想的なのは、呼吸が無意識に動きとつながっている状態です。

避けたいのは、呼吸を止めたまま体を固めてしまい、動きがぎこちなくなること。
呼吸が止まると緊張が強まり、パフォーマンスの低下だけでなく、ケガの原因にもなります。

だからこそ、ダンスの練習には動きと連動した呼吸法の練習が欠かせません。

当スタジオ ボディームーブ では、ピラティスの基本であるラテラル呼吸に加え、太極拳の呼吸法も応用しながら、ダンスの動きと呼吸を連携させる指導を行っています。
ダンスの動きをより楽に、しなやかに、そして洗練させたい方は、ぜひ一度レッスンをお試しください✨

参考文献 :「太極拳理論の要諦」銭育才 著
      「初めての呼吸法」雨宮隆太、楊進 著
      The Place Of Dance by Andrea Olsen


ダンスの動きを助ける4つの呼吸法|バレエはラテラル呼吸、コンテ・モダンは動きをコントロールできる太極拳式呼吸法” に対して2件のコメントがあります。

  1. 藤川智子 より:

    こちらの教室の生徒ではなく、台東区の教室のことで恐縮ですが、コメント失礼しました!小野先生の優しい雰囲気の教室とても楽しいです。

  2. akiko より:

    コメントありがとうございます。なぜか、メールがスパムに入っていて返信遅くなりすみません。明日はクラスですね。足裏のエクササイズも動画にアップするので、参考にしてみてくだいね。

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